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【コラム】知っているようで意外と知らない「五月病」の話

新生活に少しずつ慣れてきた5月頃に多くみられる「五月病」
一体何が原因でどんな症状が出るものなのか?知っているようで意外と知らない「五月病」について、仙南中央病院の鈴木 健(すずき たけし) 院長にお伺いしました。

「五月病」という病名は存在しない!?

メンタルケアの専門領域では「五月病」という診断名は存在せず、安易に病名を増やす事も好ましいとは言えません。しかし、新しい生活が始まる4月から5月にかけて、心身の不調を訴える人が多い事は広く知られており、その中にうつ病などの初期状態の方が紛れ込む事も実際の診療場面でしばしば遭遇します。従って、五月病という一般的で分かりやすい名称が広まる事は、心の病の早期発見や予防、あるいは啓蒙活動という見地から言えば、決して悪い事ではないだろうと私は思っています。
 
新年度が始まり生活リズムや環境がガラリと変わる4月に、気を引き締めて頑張り過ぎたり、自分を周囲に適応させようと無理し過ぎたりすると、当然身体と心に普段以上の疲労が蓄積します。逆に、会社説明会や歓迎会などの行事はこの時期に集中しますから、本来であれば休憩に充てる時間は少なくなります。またアルコールを摂取する機会も増えるので、睡眠の質が悪くなり、翌日に疲れが残りやすくなるのです。
 
そして、ゴールデンウィークがやってきます。4月に疲れてしまった分、何もせずゆっくり身体を休ませる事に専念できる方は、おそらく少ないのではないでしょうか?どこかに遠出したり、趣味に没頭したり、夜更かししたりと、普段やらない事をゴールデンウィークに集めますよね。それら自体が悪いというのではなく、長期休暇の全部に費やしてしまう事が問題です。いろいろ負担のかかる4月。それを回復させるはずのゴールデンウィークにあれこれやりすぎたら、身体と心が5月に悲鳴をあげるのは自然な現象でしょう。行事も行楽もほどほどに…という事ですね。

 

身体の「黄色信号」を見逃さずに!

何事にも真面目で一生懸命。自分を犠牲にして他人の分まで頑張ってしまう。そういう方が五月病になりやすいのは、既に書いた事を読んでもらえば理解出来ると思います。新年度早々、力を入れすぎて疲労がたまり、充電するはずのゴールデンウィークも一生懸命動き回る。そうすると、いわゆる「ガス欠」の時期が5月中旬頃に訪れます。
 
人間の身体は何か異変があると、いろんな症状を出して本人に知らせようとします。「黄色信号」が自動的に灯るようになっている訳です。これが五月病の正体ですね。頭が痛くなったり、しびれが出たり、動悸がしたり、あるいは眠れなくなったり、やる気が無くなったり。このままでは大きな病気になるかもしれないという事を、様々な症状を出して貴方に教えてくれます。黄色信号として出る症状は千差万別ありますが、私たちが日常よく耳にする「自律神経症状」がかなり多いと思います。

 

「五月病」の対策方法とは

 
対策のポイントとしては、「4月に疲れを溜めすぎない」「睡眠の質を悪化させるアルコール摂取に注意する」「ゴールデンウィークにしっかり休みを取って充電する」。これでほとんど予防出来ます。それでも5月に身体が黄色信号を出したら、それは貴方への大切なメッセージですから、症状に耳を傾け、頑張りすぎた自分に「手抜きをする」「休んでみる」というご褒美をあげてください。枯れかけたエネルギーが徐々に補給され、ゆっくりですが確実に体調も戻っていきます。

どうして五月に体調を崩す事が多いのか?その理由と意味が分かれば、自分で予防して治す事も出来るという訳です。医師の診断治療が要らないに越した事は無いのですから。

以上の事を皆さん自身が気を付け、あるいは対処してみて、それでも復調しない場合は、うつ病などの初期症状が疑われますので、私たち専門医に相談してください。

 

著者

仙南中央病院 鈴木 健(すずき たけし) 院長
<略歴>
平成10年東北大学医学部卒
精神科指定医、専門医、指導医他

住所:宮城県柴田郡柴田町北船岡1-2-1
TEL:0224-54-1210(代表)
URL:http://senchuhosp.com/

 

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