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靴のプロ・シューフィッターに聞く「靴選びの極意」

秋はおしゃれが楽しい季節♪せっかく新しい靴を買ったのに、足が痛くなってしまった…なんて事にならないように、正しい靴の選び方を“靴のプロ”シューフィッターにお伺いしました。

シューフィッターとは?


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一般社団法人 足と靴と健康協議会(FHA)が認定する、靴選びのスペシャリストの資格です。足と靴に関する基礎知識と靴合わせの技能を取得し、お客様一人一人に合った靴を提案します。
有資格者は靴メーカーの社員やオーナー、百貨店や専門店の靴コーナーの販売員の方がほとんどですが、フリーで活動しているシューフィッターもごく少数いるそうです。

今回は仙台市でコンサルティング業を行う傍ら、足と靴の相談や、カルチャーセンターでの普及活動、自治体での講演などを行うシューフィッター渡部俊和(わたなべ としかず)さんに、「靴選びの極意」を教えていただきます!

 

正しいサイズの靴を履くメリット

―そもそも、自分に合った靴を履くとどのようなメリットがあるのでしょうか?

渡部さん:サイズの合った靴を履くと、靴が軽く感じられます。不思議な事ですが、靴自体の重さとは関係無く、足に合った靴は「軽い」のです。結果的に足が疲れにくくなります。

また、サイズがぴったり合った靴は、かかとがしっかりホールドされて安定し、指先にはゆとりがあって動きやすい、という状態になります。足指が動く事によって血行や筋肉の動きも良くなり、外反母趾などの予防になります。足には神経や反射区などの「ツボ」も多く敏感な所ですから全身に影響が及ぶのです。

小石が入った靴をずっと履いている事を想像してみてください。いかに生活が不快なものになるか想像出来ると思います。合わない靴を履き続ける事は、それと同じ事を無自覚にやっているのと一緒です。逆に言えば、靴が変わると人生が変わる、という程の変化を体験する方もいらっしゃるのです。

以前、私のお客様に、極度の外反母趾の女性の方がいらっしゃいましたが、「何としてもホノルルマラソンに出たい」という事で靴選びとインソールの調整をさせていただきました。試し履きの時点でまず「こんなに履きやすい靴があったんですか?」と驚かれて、その後半年その靴で練習し、見事に完走しました。当時私はスポーツ店の店長をしていたのですが、帰国後に店内で涙を流しながら手を取り合って喜んだ事が印象に残っています。

―靴は私達の生活に欠かせないもの。生活をより良いものにする為にも、自分に合った靴を選ぶ事が重要なのですね。

 

「靴選び」で失敗してしまう3つのNGポイント

―靴選びに失敗してしまう人は、どのような点が間違っているのでしょうか?

①【NG】サイズ認識の違い
渡部さん:靴のサイズを「○○センチ」(足長)としか認識していない方がほとんどだと思います。JIS規格だけでも、足長、足幅、足囲の3つがサイズの基準になっているのですが、その3つさえも計測しないで靴を買う事が多いのではないでしょうか?靴の歴史が深い欧州では、子供靴を一足買うのにも、家族総出で2~3時間をかけて試し履きを繰り返して選ぶのが当たり前だそうです。上記3ヵ所の計測は、日本でも無料で計測してくれる靴店やスポーツ店が徐々に増えてきているので、遠慮なく相談してみましょう。


 
▲この2つはJIS規格では同じサイズ靴のインソールです。しかし明らかに形状が違うのが分かりますね。形によって足幅の計測点が違うのです。
ですから、サイズ表示はあくまでも「目安」でしかないのです。(Copyright©Office Toshikazu Watanabe LLC. All Rights Reserved.)

②【NG】試し履きをしない(靴選びに時間をかけていない)
渡部さん:上記でJIS規格の3つの計測ポイントを挙げましたが、それさえも、あくまで製造する上での最低限の規格です。生身の足はそれだけではありません。気温が高い時や運動する時、多くの方は足が大きくなったりむくんだりしますし、歩く時の癖もあるのです。履いた瞬間は良いと思っても、20~30分ほど歩いてみたら「かかとが擦れてきた」、「土踏まずがなんだか痛い」など違和感が出る事があります。その時点でどこが合わないのか、調整出来るか、違う靴がいいのか…など手掛かりが分かってきます。靴の中のスペースは厳密には計測出来ませんし、足の変形や癖は予測出来ないので、試し履きはとても重要です。ここで手を抜かずに時間をかける事がポイントです。

ちょっとした事ですが、試し履きをしながら歩いたり出来るお店であれば、まず靴を見て、靴の試し履きをしながら他の商品を見るという順番で買い物を楽しんでいただくのも時間の有効活用になります。他の商品を見てから靴コーナーに回ると時間が無いので靴選びが雑になりがちです。せっかく買った靴で疲れたり足を痛めるのは本当に残念な事ですから、3時間とまでは言いませんが、せめて1時間はゆっくり選ぶ時間を確保していただきたいです。

③【NG】靴ひもをしっかり締めない
渡部さん:大きめな靴、ひものゆるい靴は、足を支える力が弱いので、足が疲れてしまいます。ひもとかかとでしっかり足をホールドする事で足はズレなくなりますし、それで実はつま先も楽になるのです。ひもをきちんと締めない事も多くの間違いの原因になっています。面倒でもひもをしっかり締めて履く習慣をつけましょう。

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もう悩まない!自分に合った靴の選び方

―どんなにデザインが気に入っても、歩きにくい靴を履くのは苦痛ですよね。試し履きは時間をかけて慎重に、ですね!自分に合った靴の選び方を教えていただけますか?


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渡部さん:まずはどのような場面で使うのか、用途に合ったものを選びましょう。靴は毎年素材や機能性が進化しています。ビジネス系ならば天然皮革か合成皮革になりますし、スポーツ、カジュアルでは合成繊維や機能性素材がたくさん開発されています。靴選びの流れに沿ってポイントを押さえておきましょう。

①サイズを測る(時間帯もポイント!)
出来ればお店の方に聞いて、その都度計測したほうが良いでしょう。本来ならば、朝、昼、夕方それぞれの時間帯で一度測ってもらうと足の変化が分かります。人(体質)によって足が大きくなる時間帯は異なりますので、特に足がむくみやすい方は、最も足が大きくなる時間に合わせて靴選びをしないと、大半の時間で痛い思いをする事になります。自宅でもメジャーの上に足を乗せたり、インソールを外して足を乗せれば、なんとなく足の変化は分かりますので、大きくなっている時間帯を知って、そのタイミングで靴を買いに行くと良いでしょう。

②用途、好みに合った靴を試す(素材の性質と機能)
デザインや好みも無視出来ませんが、まずアッパー(甲部分)とソール(底)の素材を確認しましょう。革靴やパンプスは本革と合成皮革で変形の強度が違います。合成皮革は基本的には変形しにくい為、合わないと足を痛めやすいです。低価格のものほどサイズが合わないと使えない可能性が高く、俗に言う「安物買いの銭失い」ということになりがちです。

スポーツ靴はソールの機能と通気性が大事です。動きに合わせた耐久性や滑りにくさ、重さなどをチェックします。例えば合成皮革のウォーキングシューズでは、通気性が乏しい為に足ムレが起き、水泡や足裏の皮がむけてしまうなどの事例がありました。そういう靴ではベンチレーション(空気穴)などもチェックポイントになります。いずれも紐靴はしっかりひもを結んで、店内を20分以上歩いてから判断しましょう。

③足型
JIS規格の目安として、足幅のアルファベット表示があります。E、EE、EEEなどと書いてある部分です。Eの数が多くなるほど幅が広いという意味になります。しかし、かかと幅は規格が無く、かかとが緩すぎるものは足が不安定になるのでおすすめ出来ません。かかとの収まり具合は見落としがちなポイントですので、意識的にチェックしていただきたいです。必要に応じてインソールの調整などが必要です。

靴は工業製品なので、左右対称に作られていますが、生身の足は左右対称ではありません。この事をよく考えてみると、既製靴である以上、どちらかの足は確実に合わないはずという事です。過度な調整は不要な場合が多いのですが、必要な場合はインソールの微調整(パッドを当てるなど)を行う事もあります。そういう時が我々シューフィッターの出番ですので、遠慮なく相談してみてください。

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今回ご紹介したポイントを参考に、自分に合ったサイズでとっておきの秋靴を見つけましょう。
靴選びや足の事で分からない事があったら、シューフィッターに相談してみるのも良いかもしれません♪

【ビズプロ編集部】

 

取材協力

合同会社 渡部俊和事務所 代表
シューフィッティング・カウンセラー 渡部 俊和さん
TEL:070-6926-3626
URL:http://shoe.watanabetoshikazu.com/

☆コメント☆
弊職は仙台市で研修やコンサルティングを行っておりますが、ご要望があれば随時、足と靴のご相談、講演、カルチャーセンター講師等の活動を行っています。個別のご相談のほか、靴店の足型計測会などインストアイベントも承ります。
 

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