episode:高感度検出装置が光と電子の未来を拓く

東北電子産業株式会社

あらゆる光を検出する極微弱発光検出装置「ケミルミネッセンスアナライザー」。
その歴史のスタートは、約30年以上前まで遡る。

この装置が生まれたきっかけを教えてください。

東北大学の先生から、微弱な光を検出する装置を作ってくれないかと依頼されたのが始まりです。約35年前に開発し、その後農学部に持って行って実際に研究してもらった所、最初に古くなったインスタントラーメンが光る事が分かりました。麺の表面に付いている油が劣化すると、光るんです。酸化物が溜まっていき、ものすごく弱い光を出すという仕組みです。その後、油が光るなら体の中の油も光るはずと医学部の先生に医学系の研究に使われたりして広がっていきました。物質は少しずつ酸化して、表面に酸化物が蓄積していく。酸化していく過程で小さな光を発します。それはホタルの光の1万分の1程度で、ものすごくわずかな光です。それを測定するとどのくらい酸化しているかが分かる、という事が基本になっています。「ケミルミネッセンス」とは、『ケミ』=化学、『ルミネッセンス』=発光、合わせて「化学発光」という意味です。有機物はほとんど光ります。これは、化学反応由来の光なんです。LEDの様に電気を通して光るのではなく、装置の中でサンプルが反応していく過程で光っていくというものなので、「化学発光」という意味の「ケミルミネッセンスアナライザー」になりました。

元々別の会社に入社していたそうですが、
今の会社に入ったきっかけは?

東北大学農学部を卒業後、分析機器の会社に入社しました。その後、国のプロジェクトで4年間研究していて、5年目の時に結婚したんです。当時主人が東京の仕事だったので、当社の東京支店に入ることになり、「ケミルミネッセンスアナライザー」を使って何を測るか、どういう目的でどういう実験をしたらいいのかという装置の応用研究の方法をお客様に提案していました。当時は、お客様といろいろお話をして、例えばこういう実験をしたいと言われたら、それを当社の工場にどのような装置が良いのかフィードバックをする、いわゆる装置を作る「ハード」と化学研究の「ソフト」を橋渡しする役割が必要だったんです。研究室で4年間学んでいて、この分野はある程度分かっていましたし、専門的な話をするのは楽しかったですね。

苦労した点などを教えて下さい。

「ケミルミネッセンスアナライザー」は、お客様のニーズが無いと絶対売れない装置なんです。一時期、とにかく化学研究をやっているような日本全国の大手研究所を、片っ端からあたろうとした事もありました。でも、この研究に興味のある人に当たる可能性というのがものすごく少なくて。研究所に行っても大体門前払いだったり、興味ないですと言われる事が多かったので、現在はやり方を変えて、展示会と学会発表に力を入れています。展示会でチラシを配って装置について話をすると、それを見たお客様の方から「こういうのとれますか?」とか、「今これで困ってるんですけど」というご相談をいただきます。なので、展示会や学会発表で話をするのが実は一番うまくいくんです。あと、私は各地で講演を行っています。講演を聞いていただいた方からも、多く問い合わせをいただいています。

多くの賞を受賞されているそうですが。

2014年に、「ケミルミネッセンスアナライザー」がプラスチック成形加工学会で「第1回技術進歩賞」を受賞したのですが、賞をいただくまでには3次審査までありました。技術的には結構大変でしたが、装置の販売という意味ではとても良いきっかけとなりました。会社としては、2006年に経済産業省の「元気なモノづくり中小企業300社」に認定していただいた事は大きかったですね。受賞した時は、やっぱり嬉しいです。

装置をどんな方に利用していただいてますか?

今までは大学の先生方の研究用途として使っていただく事が多かったのですが、最近はプラスチックメーカーさんに多く使っていただいています。酸化していないか、途中でプラスチックが割れたりしないかなどの品質管理、または酸化しない為の様々な配合を研究する、新製品の開発の部分で使っていただいています。

今までで驚いた装置の使用方法は?

大学の卒論は「ケミルミネッセンスアナライザー」を用い、ラットに何を食べさせたら一番老化防止に効くかという研究をしていて、いろいろなエサの配合を変えて、臓器を取り出して発光を見て、どれが一番発光を抑えているか、発光すると酸化しているので、老化が進んでいる、という見方で研究をしていたんです。このようにずっと生化学を研究してきた中で、プラスチックも劣化すると光るという論文が出てきて、こういうのも光るんだと知った時はおもしろかったですね。有機物はみんな光るっていう、工業製品にも応用できると知った時は驚きでした。

今後行っていきたい事は何かありますか?

現在は、新製品の開発に力を入れています。「ケミルミネッセンスアナライザー」は自社製品として出していますが、更に自社ブランドで出せる製品を増やしていきたい、というのがあります。その為には社員のマインドも同じ方向に向いていないとダメなんですよね。自分達の技術を、世の中のニーズにどう合わせてどのように作り込んでいくかという事を、市場調査も含めて行っていかなければなりません。「新製品プロジェクト」を2014年の1月から始めているのですが、週に1回、1時間~1時間半位の時間で誰でも参加可能という形で、ブレーンストーミングを行っています。現在、その中からいくつか芽が出つつあって、それをどのように商品化していくか考えています。その中から生まれた一つが、植物の葉に文字やイラストをレーザーマーキングすると、その部分が光るという「ルミリーフ」なんです。

やりがいを感じる時はどんな時ですか?

大体、実験って裏切られる事が多いので、自分が思った通りにデータが取れた時は、やっぱりおもしろいですね。それは一番の醍醐味です。「ケミルミネッセンスアナライザー」の測定方法自体はそれほど難しくはないのですが、研究する上での条件の設定だったり、ちょっとした実験の仕方のノウハウはお客様とお話しながらそれぞれのサンプルに合ったやり方を考えていきます。

ビズプロ・クロスについて一言

ビジネスに繋がる連携であったり、発展があるべきだと思います。実際に、他の企業様と情報交換や、きちんと仕事の連携が取れる仕組みは欲しいと思っています。

100年後の会社の目標は?

100年後にものすごく大きな会社にしようとか、そういう方向には考えていないですね。自分達の技術を活かしたオリジナルの商品を開発して、国内だけではなく海外も含めて展開していきたいと思っています。どうしても国内市場はもう決まっていますから。もっと海外に向けて出していかなければならないと思っているので、今年も経済産業省の補助で、海外の2つの展示会に出展する予定です。

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