episode:“不燃で透明”新素材が未来を創る

株式会社宮城化成

FRP(強化プラスチック)と粘土膜を複合させ生み出された「EXVIEW」。
今後さまざまな用途での活用が期待される新素材から目が離せない。

設立のきっかけを教えてください。

私の父はもともと建設会社をやっていたんですが、いろいろあって倒産し、その工場をFRP(強化プラスチック)※事業をやっている会社に貸したのがきっかけで、そこで父がFRPの仕事を勉強して、1987年の6月に栗原市築館に会社を設立しました。
※FRP(Fiber Reinforced Plastics=強化プラスチック)…ガラス繊維などの強化材をプラスチックの中に入れて、強度を向上させた複合素材。

「EXVIEW」開発のきっかけは?

設立当初は、他のメーカーさんのFRP製仮設トイレを受注し生産していました。受注が増えてきたので現在の一迫に場所を移したのですが、その途端受注の量が激減してしまい、これではいけないと1991年から自社ブランドの仮設トイレを開発し、東北6県で販売を開始しました。ちょうどその頃、仮設トイレが建設現場や工事現場で使われるようになり、また生産の方は回復し始めたんです。しかし、その仮設トイレも次第に値段が安価なPP(ポリプロピレン=熱可塑性樹脂)やPE(ポリエチレン=合成樹脂)といった違うプラスチック素材を使用した製品が出てきた事により生産が減ってしまったので、徐々に生産品目をFRP製の自動車部品の製造に切り替えていきました。現在は8割が自動車部品の製造です。自動車部品の製造が軌道に乗り始めた矢先の2004年に一迫の工場で火事があり、建物が全焼してしまいました。でも1997年に岩手県北上市に同じFRPの製造会社を買収していましたので、火災後はそちらを間借りして営業を行い、火災から半年後、同じ一迫に新工場を建設しました。一時は火災で何もかも無くしてしまいましたが、何とか乗り越えて、お客さまも離れないでお取引を継続していただいたので助かりました。本当にその時は嬉しかったです。そんな中で、2009年8月に東経連ビジネスセンターのコーディネーターの方から産業技術総合研究所で粘土膜(CLAIST/クレースト)※を研究している蛯名武雄(えびな たけお)先生を紹介していただきました。二人でいろいろ話をしている中で、FRPと粘土膜を組み合わせて、透明で燃えにくい素材を作ってみようという話になり、その年の10月から共同研究を始めたのが「EXVIEW(エクスビュー)」開発のきっかけです。
※粘土膜…水や溶剤で溶かした粘土を薄くのばして、乾燥させ出来る膜。特徴としては、ガスバリア性が非常に良く、燃えない粘土で出来ているので、耐熱性も抜群。

苦労した点はありますか?

開発内容をプレスリリースした時に一番問い合わせが多かったのが鉄道関係の照明器具を扱っている企業だったので、まずはターゲットを鉄道の照明カバーに絞りました。鉄道車両の天井材に使用する材料は、鉄道車両用の不燃認定の規格を取得する必要があり、「車材燃試」という試験があるんですが、その認定を取得するのに一番苦労しましたね。
2009年から研究を始めて、規格が通ったのが2014年の2月。4~5年はかかりました。試験は「コーンカロリーメーター試験」と「アルコール燃焼試験」があり、このうちの「アルコール燃焼試験」でなかなか不燃の認定が取れず、この不燃試験に7~8回は出したと思いますね。取れた時は本当に嬉しかったです。

「EXVIEW」の特長を教えてください。

鉄道車両の燃焼試験で不燃の認定が取れているという事と、光透過率が60%位あるという事。世の中にあるプラスチック材で不燃の認定が取れて同時に光を通す素材はなかなか無いので、それが一番の特徴ですね。また、FRPにはガラス繊維と樹脂が含まれており、それによって光拡散性が出るんです。この特徴によりLED照明が点光源に見えず、光をうまく拡散する事ができます。鉄道車両の照明関係に使っていただきたいと開発しましたが、今後は建材の不燃認定も取得するつもりでいるので、建築材や防火垂れ壁、安全面を要する公共の建物などの照明カバーに使っていただければと思っています。

今後行なっていきたい事は?

やはり、世の中の安全性を求める場所にどんどん広めて行きたいですね。とにかく様々な分野に使えると思うので、現在は鉄道車両をメインとして営業をしていますが、今後はさらに広い分野に「EXVIEW」を宣伝していきたいと思います。また、品質・コスト・納期を大事に、更に新しい物を作って、お客さまに提案できる企業になっていければと思いますね。

若い従業員の育成にも力を入れられているそうですが?

毎年1人は新卒を採用しています。現在従業員は40人位ですがここ数年で平均年齢はだいぶ下がってきていますね。特に必要な資格はありません。入社してから資格を取っていただければいいので、未経験でも大丈夫です。当社は手作業の部分が多いので、モノづくりが好きで、手先が器用な人であればいいですね。

20年後、どのような会社になっていると思いますか?

「EXVIEW」をこれからどんどんいろんな分野で使っていただいてほしいですし、今もまた新しい素材を開発していますので、現在では世の中に無い様な新しい素材を開発して、それが20年後には世の中で使われていればいいなと思いますね。当社は2017年で設立30周年なのですが、どちらかと言うと“受注して下請け”みたいな感じでモノづくりをしてきたのですが、現在「EXVIEW」のように新しい素材の自社製品の開発も行なうようになりました。今後も、更に自社開発の製品を作って、世の中に出していければいいなと思います。

ビズプロ・クロスをご覧になっている皆様へ

当社はFRPの成形加工を行なっていますので、FRPの成形加工技術や品質に関しては、他の企業さんには負けないと思っています。また自社製品の開発をすることによって日本から新しい素材や製品が中小企業でも作れるという所をどんどんアピールしていきたいと思います。

株式会社宮城化成
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