episode:障害のある方々が自立できる世の中を目指して

特定非営利活動法人みやぎセルプ協働受注センター

宮城県内の障害者就労支援事業所で働く障害者の方々の給料(工賃)向上を目的とし、
スタッフ全員が同じ方向に向かって日々取り組んでいる。

設立のきっかけは?

市川会長:宮城県で授産活動活性化検討委員会が設立され、私も委員となり検討会を進めさせていただいていたのですが、ただ検討結果を出しただけではこれから具体的に何をどのように進めていいのか分からないと、委員会を通じて相談されたんですよ。当時、特定非営利活動法人日本セルプセンターが設立されたこともあり、その宮城県版を立ち上げようと、2004年(平成16年)の4月に設立しました。「みやぎセルプ協働受注センター」の名前は、もともと障害などの理由により一般の事業所に就職することが難しい人々の為の就労の場を「授産施設」と言っていたのですが、なかなか広がりづらいという事もあり、新たに社会就労センター協議会が作った自助自立を意味する英語「SELF・HELP」からの造語『セルプ』から付けています。また、『協働』という言葉には“みんなが同じ方向に向かって共に汗をかく”という思いを込めて付けました。

主な活動内容を教えて下さい。

武井さん:宮城県内に250以上ある障害者就労支援事業所に対し、販路の開拓や、共同で出展できる販売イベントの企画・運営、企業や団体からの受注・発注といった支援を行なっています。運営するイベントの中では、JR仙台駅で毎年開催する「ナイスハートバザール」が一番大きいですね。最近のイベントの中で印象に残っているのは、2014年(平成26年)に実施した「東北和綴じ自由帳展」ですね。187人のクリエイターがデザインした表紙を、東北の障害者就労支援事業所の皆さんで和綴じをして、売上の一部を被災した子どもたちに還元するという企画があって、私達も和綴じの技術指導などイベントの協力をしました。また、障害者の方々の工賃向上を目的として、様々なセミナーも行っています。

障害のある方々が作った商品を見て、驚きや発見はありますか?

格井さん:ここで働くまでは、障害のある人たちが一体何をしているのかなんて考えた事も無かったので、就労を支援している所がある事が、まず驚きでした。だからこそ、逆にもう少しどうにかしようよ、という部分もあったりして。
武井さん:商品でも、ものすごくおいしいのに、これでは売れないというパッケージや量だったり、価格帯がめちゃくちゃだったり。そういう部分を事業所に対してアドバイスをさせていただいたりして、徐々にではありますが商品のレベルも上がってきているのかなという感じはします。どこまで私達の力かは分かりませんが、企画しているイベントに出展していただくだけでも、レベルはかなり変わってきます。他の事業所が出展する商品を見て、良い所は真似しますし、事業所の職員同士の情報交換の場にもなります。いい意味で切磋琢磨していただいていますね。また、今の時代、食・物への安全というのが非常に求められますので、私達も食品表示に関しての勉強会を行うなど、かなり手厚くしています。1つの事業所が何か問題を起こした場合、福祉事業所は全て同じ目で見られるんですよ。それが怖いんです。それぞれが違う事をやっているんだけれども1つの事業所の商品に不手際があった場合、福祉事業所全てがそう思われることを避けたいので、出来るだけ可能な限りの事故は減らしていく努力をしています。

やりがいを感じる時は?

格井さん:事業所の職員さんからの「あそこのイベント良かった!」「商品たくさん売れたよー!」という言葉を聞いた時ですね。
武井さん:商品を購入していただいたお客さんからの「すごくおいしかったからまた食べたい!」という言葉ですかね。人の心を動かす事が出来るという所が一番のやりがいですよね。多くの人にそういった感動を与えることができたら嬉しいです。

震災後の活動について教えて下さい。

武井さん:東日本大震災により、直接または間接的に被害を受けた障害者就労支援事業所で働く方々の工賃の回復を目的として、事業所の情報を紹介する特設ホームページ「LINKS」を2012年(平成24年)の3月に開設しました。そうしている内に、被災した事業所を集めて、意見や情報の交換の場を設けたいと思ったんです。同じ被災した者同士でしか分かり合えない部分があるし、共有した方が有利な情報というのも絶対にあるということで、「被災事業所連絡会議」を設立し、現在も月に1回開催しています。その中のメンバーで、自発的に出来た団体が「TEAMシーサイド」。法人の垣根を越えた、再建の夢を乗せたブランドです。さらに、「被災事業所連絡会議」のメンバーで、経験した震災の記憶を他県の人達にも今後起こりうる災害の一助になればと、被災した事業所の職員が震災当時何をしていたか、何を思ったか、どのような行動を起こしたかをまとめた「3.11震災の記憶」という特設ページを作り、2013年(平成25年)の3月11日に公開しました。やはり経験として、語り継いでいかなければもったいないと思ったんですよね。それと、震災時に多くの支援をいただいたお礼の意味も込められています。

今後行っていきたい事は?

武井さん:これは僕が個人的に目指している事なのですが、「就労移行支援」という形態があるんですよ。それはどういう事かと言いますと、事業所に入って、2年間様々な勉強をして、どこかの企業に就職させますという事業を、障害者就労支援事業所が受けたりするんです。その中の一環の実習として、企業に受け入れていただくという場合、事業所の職員も付いていくことも出来るんですよ。実際に企業の施設内で働く場合、私の考えとしては、例えば4人1チーム+職員1人ぐらいで作業を行なって、きちんと企業から工賃をいただく。だだし、企業側は、事業所の職員が付いているので、障害者の方たちの面倒は見なくていい。その中で作業が向いている方に対しては、その企業への就職を提案するという事ができないかという構想が膨らんでいて、これを本当にやりたいんですよ。将来的には、障害者一人ひとりがきちんと所得税を払える位の工賃をいただけるような所を目指していきたいです。
市川会長:私達の今の主な活動財源は、震災復旧・復興での財源なんですよ。これが無くなってしまうと、今よりかなり縮小した事業しか出来なくなってしまいます。ですから、今後どのように自主財源を確保していくかという事で、企業の社会貢献事業と結びついて行なったり、独自の商品を開発して“セルプブランド”として売り出したり、アンテナショップの様なものを作って、そこで商品を販売したり、これまでに培った多くのノウハウを活かして、様々な企業と結びついて多くの人に認知・利用していただく事が目標ですね。

最後にビズプロ・クロスをご覧になっている皆様へ

市川会長:企業さんが「こういう物が欲しい」「こういう事をしたい」と思った時に、一体誰に聞けばいいのかが分からないという状況があるのが、今の世の中です。ですから、そういう時はどんなものでも私達に聞いていただければ、具体的にお手伝いやアドバイスもできますし、一緒にやる事もできます。どんな事でも結構ですので、一度ご相談ください!

特定非営利活動法人みやぎセルプ協働受注センター
〒981-1102 宮城県仙台市太白区袋原5丁目12-1
TEL 022-399-6299 FAX 022-306-2515
HP : http://www.miyagi-selp.org/