episode:「四季の海を満喫できる宿」震災乗り越え再建

民宿 あたご荘

東日本大震災による被害を乗り越え、多くの人の協力を受け再びオープンした。
夕日がすぐそこの海に落ちる絶景と、地元の新鮮な海の幸を楽しめる。

民宿の誕生のきっかけを教えてください。

1982年(昭和57年)3月に、亡くなった義父が建てたんです。元々うちは漁師一本でした。ただ、義父の友人に新山浜(にいやまはま)で旅館を経営なさっている方がいらっしゃったという事と、生まれてくる孫達が女の子が多かったという事もあり、何を勘違いしたのか「女の子だけなので民宿にしよう」と、ある日突然ここを民宿にしてしまったんです。みんな嫁に行くというのを理解できなかったらしくて、みんな家に残るものだと思っていたんでしょうね(笑)。 急に言われたものでしたから、心の準備はもちろん、宿泊業務がどのようなものなのかも何も分からず、もちろん接客の経験もありませんでしたので、徐々にお客様に育てていただきながら何とか今まで来たという感じですね。あたご荘の名前の『あたご』は、愛宕神社から名前をいただいた「愛宕丸」という義父の船の名前からきています。

民宿「あたご荘」ならではの特長を教えてください。

「四季の海を満喫できる宿」が一番おすすめ出来る点ですね。夕日がすごくきれいな所なんです。また、漁師の主人が獲った地元の新鮮な海の幸で四季をお楽しみいただけます。なるべく、この地の物を食べていただきたいという思いがありますので、地産地消100%の料理を目指しております。
後は、とにかくくつろいでいただけることですね。どこかを汚したりしたらいけないとか、そういう気をお客様に遣わせたくないので、お家にいるような、そういう気持ちで過ごしていただきたいですね。

東日本大震災当時、どのような状況でしたか?

津波で、一階部分が被害を受けてしまいました。私も親戚の漁業倉庫に避難していたのですが、ここに来たくなかったんですよ、たぶん見たくなかったんでしょうね。民宿を止めようというより、出来ないと諦めていました。無事だった二階をボランティアの方々にお借ししていたのですが、そのボランティアの方々の間でいつのまにか「あたご荘復活プロジェクト」のようなものが出来始めて。それで再建に向けてスタートしたんです。大工さんが二階に住みこんで直していただいたりしたおかげで、2013年(平成25年)6月に再び営業を開始することができました。

前は無かったのですが、再建した建物の中に薪ストーブを入れました。震災の時にすごく寒い思いをして、その時にがれきを燃やして暖をとっていたんですね。その時の火が忘れられなくて、薪ストーブは絶対に入れたいと思ったんです。火のぬくもりって、エアコンのあたたかさと全然違うんですよね。震災前と後で一番変わったのは、お客様の客層です。今は復興のお仕事をされている方やボランティアの方々がかなり占めています。
震災前に多かった夏場の海水浴のお客様や釣りのお客様も減りましたし、後は基本的に住む人が減っているんですよね。昔のように多くの人が住んで、観光のお客様がたくさん来て下さるといいんですけどね。もちろん、観光でお越しいただくお客様もいらっしゃいます。以前お越しいただいたお客様で、「営業を再開したって聞いたので来たよ」という方もおりますので、その時は本当に嬉しいですね。町全体が昔のにぎわいを取り戻さないと、お客様も観光という形で入ってはくださらないと思うので、震災前のにぎわいを取り戻して、多くの観光客に来ていただきたいと強く願っています。

やりがいを感じる時は?

「また来ました」と来てくださるお客様がいると、やっぱり嬉しいですね。民宿の部屋も少ないという事があり、これまでは広告宣伝はあまりせず人伝だったのですが、今はスマホやタブレットで撮った料理をSNSで配信してくださるお客様がいらっしゃいますので、ありがたいですね。「SNSで料理を見て来ました」というお客様もいらっしゃいます。

今後、どのような民宿にしていきたいですか?

これからも常連のお客様、さらに新しく来て下さるお客様を大切に、今と変わらずに続けていきたいですね。震災当時に二階に住みこんでいたボランティアの方々が年に何回か「ただいま」って帰って来てくださったり、年末になると窓拭きに来てくださる方もいらっしゃるんです。震災が無ければ出会えなかったというお付き合いもたくさんあるので、大切にしていきたいです。

民宿 あたご荘
〒986-2415 宮城県石巻市小渕浜カント14-4
TEL:0225-46-2075 FAX:0225-46-2085
HP:http://atagosou.com/index.html