episode:ガラスに塗るだけで省エネ!「フミンコーティング」

株式会社フミン

スプレーガンで窓ガラスに塗布するだけで赤外線と紫外線を吸収する「フミンコーティング」を独自に開発。
地球温暖化防止とコスト削減に貢献する環境にやさしい商品として、世界から注目されている。

設立のきっかけを教えてください。

元々私は、外資系製薬メーカーに勤めていたのですが、そこを辞め独立して、フミンの前身である「株式会社福島沢井」を1978年(昭和53年)11月30日に立ち上げました。
医薬品卸業をやりながら、新たな商材として「海洋性フミン物質」に着目しました。これは社名の由来にもなっておりますが、葉緑素を豊富に含んだ海洋性単細胞珪藻類(昆布、プランクトン類)が数百年前に推積した、珪藻土地層(地下数m~数十m)より採取した鉱物です。このフミン物質を応用し、1993年(平成5年)に土壌改良剤『MR-X』を開発しました。『MR-X』を散布した田畑では、稲や野菜などの農作物の根が太くなり、病気になりにくく有機栽培、無農薬栽培が可能となります。やがて全農が指定資材として販売してくれるようになり、多くの生産者からも反響をいただき、フミン物質の有効性に自信を深めました。

『フミンコーティング』開発のきっかけは?

農業閑散期のある年の冬、ふと会社の外を眺めていると、ガラスが結露している事に気付きました。結露は、室外と室内の温度差が15℃以上になる事で起こります。それなら「ガラスを冷たくしなければ結露は防げるのではないか?」と考えたのです。もう一つ開発のヒントになったのは、携帯電話。携帯電話のタッチパネルは赤外線を吸収することにより操作できます。「もしそれがガラスに塗れたら…。」これが、『フミンコーティング』開発のきっかけでした。
市販の溶剤を電話ボックスのガラス面にスポンジで塗って室内の温度調整をする手法は従来からありましたが、スポンジで施工する方法は手間がかかるうえに塗膜ムラが多いために普及が進みませんでした。では、これをスプレーでやってみたらどうだろうと思ったんです。しかし、スプレーだと幾度もの重ね塗りが必要となり、熟練した技術者でも曇りガラスになってしまうおそれがあります。かといって吹き付けるノズルの口径を大きくすれば液ダレのおそれがある。それなら、溶剤を包み込む温風ブロアーが垂れる前に乾燥させればきれいな塗膜を形成できるのではないか?これには温風の適温、強さがカギとなりました。はじめは失敗続き。溶剤の配合や送風の実験を繰り返し、試行錯誤の末にようやく最適値を見つけることができました。微細な霧状ではなく、雨粒ぐらいの大きさを飛ばして、その膜が落ちない風圧の温風を一緒にぶつけるんです。そうすると、ムラが無く透明な状態でガラスへ塗る事に成功できました。
ある時、福島県の関係者から、塗布面に虹彩現象やムラが無い事に驚かれ、発明の重要性に気付き2007年(平成19年)に特許申請をしたものの、無情にも拒絶通知が届きます。半ば諦めかけた時に、当時の東北経済産業局の特許室長から「特許庁の審査官と面談して特許を補正する方法がある」とアドバイスをいただき、面談を経て、同年の1月に特許査定が降りました。特許を取得後、全国各地の展示会で出展するようになると顧客の反応は一変。既存のガラスに塗るだけで体感温度は劇的に変化し、低コストで資源の活用にもなる当社独自のコーティング技術『フミンコーティング』は、大手ガラスメーカーや塗料メーカー、商社からも商談の申し込みがあり、首都圏での商談も始まりました。また、メディアなどにも当社の技術が紹介され、海外からの視察や代理店契約の問い合わせも増えていきました。2007年(平成19年)7月にはシンガポールに「現地法人FUMINN PTE. Ltd」を設置し、アジア地区の拠点としました。

海外からの引き合いも順調で、業績も右肩上がりだった2011年(平成23年)、東日本大震災が発生。福島第一原子力発電所の事故による風評被害により、塗料の輸出が全くできなくなってしまいました。同社の塗料は埼玉県で製造しているのですが、福島の会社の商品と言うだけで、放射性物質が混入しているのではないかと疑われ、通関できないのです。国内でも同様の風評被害を受け、121社あった代理店は7社程まで減ってしまいました。原子力発電所の停止により、省エネ・温暖化防止の流れが止まってしまったのも痛手でした。
震災からまもなく3年になろうとしていた2013年(平成25年)1月、JETROから誘われたサウジアラビア「省エネルギー」商談・視察ミッションへ参加し、サウジアラビアの経済界の要人とのネットワークを形成する事が出来ました。『フミンコーティング』は、日本、韓国、台湾、中国、香港、マレーシア、インドネシア、シンガポール、オーストラリア、インド、アメリカ、EUで特許を取得しています。2016年(平成28年)2月には、「伝導性金属酸化物のガラスコーティング技術を活用した省エネ化・温暖化抑止のためのODA案件化調査」が国際協力機構(JICA)に採択されました。今後は、海外での上場を目指し、更なる事業展開を目指します。

20年後会社はどうなっていると思いますか?

ガラスに塗るだけで省エネが出来る塗料を開発した会社として、20年後も名前が残っていれば嬉しいですね。あとは、現在社員が4人なので、もう少し増えていればいいなと思います。
今後は海外への展開が更に伸びていくと思いますよ。現地の企業と協力して、市場を開拓していきたいです。

ビズプロ・クロスをご覧になっている皆様へ

中小企業同士の連携の強化が重要だと思っているんです。意外と東北の企業って、横のつながりを取らないんですよね。良い技術を持っている企業同士が手を組んだら、時に大企業にも負けないようなすごい物が出来るかもしれない。もっと、企業間のつながりを深められたらいいですよね。

株式会社フミン
〒960-8161 福島県福島市郷野目字上21
TEL:024-544-0223 FAX:024-545-0620
HP:http://www.fumin.jp/