episode:今までにない照明器具を目指して

ヤマセ電気株式会社

“MADE IN 宮城”の広告掲載機能付きLED照明器具、「アドライト」。
商品の開発に至るまで、開発メンバーの多くの努力と苦悩があった。

「スーパーエコライト」開発の経緯を教えて下さい。

早坂さん:リーマンショックを機に、これまでやっていた電気部品メーカーの協力だけではなく自分達で仕事を作っていかなければいけないという考えに変わっていきました。そんな時に東日本大震災があり、さらにその気運が高まったので、ヤマセ電気グループを一周して、全ての工場が関わって商品を作ろうと、LED照明「スーパーエコライト」を開発しました。2011年10月から開発にあたり、12月に試作品としての最初の1号機が完成しました。部品はそれぞれ、電源は東北エレクトロ株式会社で、シャーシとプレスはヤマセ電気株式会社美里工場で、成形品(つまみ・カバー)とカバーへの塗装はアイネックス株式会社で成形しています。中には、LEDが300個直接入っているのですが、これはヤマセエレクトロニクス株式会社でLEDチップを基盤に実装しています。そして、これらの部品を集めて、ヤマセ電気株式会社色麻工場で完成品を組み立てています。このようにヤマセグループ一周、皆さんが関わって商品を作っています。開発の中でこだわったのは、まず、軽さです。従来品よりもものすごく軽くしようということで、アルミを使用して半分の重さを実現しました。アルミを使うことによって錆びることはないし、熱の伝導性が良いので放熱にも利用して寿命を延ばせます。さらに、照明はリモコンで調光することが可能です。リモコンはお客様から買っています。部品などの原材料は地元でできるだけ調達し、“MADE IN 宮城”にこだわっています。

商品の販売方法は?

早坂さん:今、目指しているのは代理店販売です。裾野を一気に広げたいとずっと活動しているものの、なかなか代理店は、そう簡単には見つからない。なので今は自社と代理店の併用で販売しています。やってみて思うのは、仮にものすごく良い商品を作ったとしても、「ヤマセ電気はLED照明メーカーです」というブランドイメージが無いんですよ。そのブランドイメージというのは、買えないですね。ヤマセ電気が作ったこの商品だったら安心だね、買いたいという風に認知される為には、まずは商品を売るよりも先に会社の名前を売らなければいけないな、と思っています。

開発での苦労話を教えて下さい。

早坂さん:LED照明が普及するから、製品をとにかく早く出して欲しいとたくさん言われました。ですが、きちんと商品を評価しないと、不具合があってしまっては大変なんです。10名強の開発メンバーで、震災で家を失くすなどの被害に遭った従業員もいる中、試行錯誤の末、開発に至りました。
佐々木さん:商品の仕様も現在に至るまで何回も試行錯誤したり、社長も含めてどうしようか話し合いました。例えば、「スーパーエコライト」のブロックつまみ、この部品の形状一つとっても、最初は軽量化にこだわり、現在よりもう一回り小さいサイズでした。ただ、作ってみたらペンチを使わないと回らない程回しにくかったので、改善して現在は大きくしています。照明のリモコンは現在3段階調光ができて、それにプラスしてオフということも個別にできる機能を持っているのですが、開発当時では調光の段数を無段階調光のようにしたら良いのではないかという意見もあり、意見をまとめていくのは大変でした。でも一番はやっぱり、放熱をどうさせるかという点に苦労しました。放熱の穴一つでも、大きさをどうするか、風通しがどうやったら良くなるのかを改善していくのは苦労しましたね。当社の各工場に「スーパーエコライト」を付け、照明内に温度センサーを繋げて温度を測り、実際に不具合が無いか確認する作業を夜通し行いました。そして、改善が必要な部分はすぐに社内で加工し、効果の確認を行うという事を繰り返しました。
早坂さん:放熱は技術的に一番難易でした。照明器具の寿命は、電気部品に熱をかけるかかけないかで随分違うんです。それは、長い年月をかけないと分からない。簡単には点灯するけれど、長い年月点灯し続けるかといったら分からないんです。熱をいかに発生させないか、発生してしまう熱はどのように逃がすか、この2つを最終的に現在の形にするまでものすごく苦労しましたね。

「アドライト」が生まれたきっかけは?

早坂さん:大崎市民病院に、初代の「スーパーエコライト」の設置を提案しました。しかし病院の診察室には2灯しか設置できず、2灯設置してもっと明るさが欲しい、それを半年間で開発出来たら設置を考えます、と業者さんに言われたんです。まさかそんな事を地元の名前も知らないような会社が本気でやっていくとは思わなかったと思うんですけど。必死に作って、2013年6月に「スーパーエコライトHP(ハイパワー)」を開発しました。明るさは、初代の3450ルーメン(※)から6000ルーメンまで一気に上げました。6000ルーメンの商品が他社にあまり無く、加えて調光もでき、当時の省エネ基準ではかなり高いレベルを維持できたので、そこから急激に設置台数を広げてもらい現在では約1800台導入しています。大崎市民病院は2014年の7月に開業したのですが、商品の納品は3月までに終わりました。そこから今後商品をどのように差別化するかリサーチをかけていたある時、ドラッグストアを見ていて、ポップの煩雑さが気になったんです。他のお店も見ていくと、広告がべちゃべちゃっとつぶされている。そんな光景を見て、広告を照明器具に直接付けたらどうだろうか?と考えました。お客様が自分達で入れたい物をスッと入れ替えられる照明器具ができれば、他に無い照明器具ができるだろうと思い、ちょっとやってみようかと。早速、照明器具にスリットの試作品を買ってきて、付ける位置を試行錯誤した結果、照明器具のど真ん中に付けてしまおう、と完成したのが「アドライト」なんです。開発にかかった期間は3ヵ月。最大でA1縦サイズの大きさの広告が設置できます。カラーバリエーションも豊富ですよ。塗装をやっていますので、色見本があるんです。この色が欲しいと言われれば塗料を調達するので、カラーバリエーションは無数にあります。
※ルーメン…光源が放つ光の明るさを示す単位。(記号lm)

今後、商品をどう広めていきたいですか?

早坂さん:周りからは最初「非常識」と言われた事もありました。今までには無い商品ですから。でも、「アドライト」を開発した狙いというのは、広告を差し込むという使い方もできるし、本来の照明器具としても使える、という所なので。広告を設置した後に、LEDスリット側だけ乗せ換えれば、照明器具としての使い方もできる。後はお店などで、広告料を1ヵ月いくらかの料金をいただいて広告してあげるという事もできると思うんです。お店側も、広告を出したい側も両方得をする、そういうビジネスモデルができないかなと思っていて。「アドライト」を照明器具だけではなく広告設置媒体として使っていただきたいと思っています。まだそこまでの商売の確立はしていませんが、魅力を持っていただいている事は確かなんです。

その他に取り組んでいる事業は?

早坂さん:携帯電話のショップを(au6店舗・ドコモ1店舗)やっています。携帯電話の部品を製造する際に、どのようにお客様に次の商品を提供できるか、部品を提供できるか、というのを、自分達が提案しなくてはいけない。そういう情報を知るにはショップをやる事だと思ったんです。そうすると新商品が各社からどんどん出てきますし、お客様のクレームも直接聞けますから。現在も、太陽光システムに使用される部品を手掛けられないか?というきっかけから携帯電話のショップでヤマセ電気をPRする商品を作ろうと、太陽光パネルの施工を手掛けています。

今後開発していきたい商品は?

佐々木さん:「アドライト」はLED商品の新しい形としては出来上がっているのですが、他社製品もだんだん性能が良くなってきているので、それに見劣りしない様、新たな商品を開発していかなければいけない、というのは社内でもありますね。ある程度差別化できる要素をいっぱい盛り込んで、大手さんと競合しても負けないような商品を作っていかなきゃいけない、と思っています。

ヤマセ電気株式会社 美里工場
〒987-0015 宮城県遠田郡美里町青生字柳原80
TEL0229-32-5663(代表)
HP: http://www.yamase-net.co.jp/index.html