episode:「今日」よりも「明日」へ、薄肉化への挑戦

アスカカンパニー株式会社

プラスチック製品の製造・販売を行うアスカカンパニー。
より早く、より薄く。更なる薄肉成形技術に挑み続ける。

設立の経緯を教えて下さい。

1968年(昭和43年)に兵庫県尼崎市に「京都化成工業株式会社」として設立したのが始まりです。お取引先の工場が宮城県加美郡宮崎町(現:加美町)に進出するという事があり、近くで製造、デリバリー対応させて頂くため、10年後の1978年(昭和53年)に東北工場を建設しました。2002年(平成14年)4月に、「京都化成工業株式会社」から現在の「アスカカンパニー株式会社」へ社名を変更。社名は創業者の意志により社内公募の中から「仲間と皆で成長していこう」という思いから『カンパニー』と、前の社名の「京都化成」を略した『きょうか=(今日か)』から「(今日よりも)明日を」=『あすか』、この2つを組み合わせて『アスカカンパニー』という名前になりました。

主な事業内容を教えて下さい。

当社ではクリーンルームを完備し生菌管理、防塵対策を行っている環境下でアイスクリームやヨーグルトの蓋、プリンの容器などのプラスチック製品を製造しています。中でもプッチンプリンのプッチン部分は、非常に難しい技術が必要となります。当社ではこの部分の構造の特許を取得しております。小さなお子様でも簡単に折れなければならないという半面、プリンを製造する工程などで力が加わった時に穴が空いてはいけない。折れなければならないし、折れてはいけないという相反する物ですので、検査装置を自社で開発し、検査しながら製造しているんです。容器の生産ラインの中で全数を、プッチン部分の裏と表に電気を当てて電気が通るか通らないかを評価していきます。プラスチックは電気を通さないので、穴が空いていなければ電気は通らず、空いていれば電気が通る。これを生産工程の中で評価して、出荷しています。その他にも、歯磨き粉のキャップなども「パチン」という音が鳴って閉まる感覚が使っているお客様にとっては非常に大切でなんです。このように製造する製品に合わせて測定器を開発して評価をしているという所は、当社の特色の一つであると思います。

「QC活動(MK活動)」に力を入れているそうですが?

自社開発の測定器は、QC活動(MK活動)の中で生まれた物があります。QC活動(※)は製造業では結構実施されている企業も多いと思うのですが、当社では1987年のキックオフから37年間欠かさず継続しており、自分達の困っている問題を半年間グループ単位で活動して、問題の解決や課題を達成する取り組みを毎年社員全員参加で実施しています。当社ではそれを『みんなで活動、みんなで改善=MK』という造語から「MK活動」と呼んでいます。活動の中で生まれた主な製品として、プラスチック製品を切断する機械「キッタロウ」があります。もともと、製品の断面を観察したり、厚みを測ったりする際はカッターなどで切断していたのですが、製品の断面を潰してしまったり、カッターで怪我をしてしまったり、切断の際に力が必要だったりという数々の問題がありました。それらを解決するためにQC活動(MK活動)を半年間取り組み、生み出されました。「キッタロウ」はプラスチック・ゴム成形品を安全に早く綺麗に切断できるため、プラスチック・ゴム成形品を切断評価される用途のお客様を始め、多くのお客様にご納品させて頂いております。このように、自分達の困っている事を解決した結果、製品になっているというケースが非常に多いです。 ※QC活動…QCは品質管理(Quality Control)の略。職場内で自発的に集まった少人数の集団が、製品・サービスの品質管理や改善、不良品の低減、安全対策などに取り組むこと。(出典:デジタル大辞泉)

よりよい製品づくりの為に力を入れている事は?

当社は、プラスチック製品を大量生産していく中で「いかに早く、薄く作るか」という所にこだわって生産をしています。薄く作ればその分原料費が掛からないというコスト削減にもなりますし、資源の消費も少なくなり地球環境にも優しくできるというメリットがあります。成形技術としては非常に難しい部分はたくさんあるんですけれども、当社では国家技能検定を持っているプラスチック成形技能士が数名おりまして、その中でも特級の技能士は2名おり、そのうちの1名の安彦浩輝さんは、2015年(平成27年)11月に「宮城の名工」にも選ばれております。社員の高い技術を持ちながらいかに早く、薄く作るかという所に力を入れていますね。また、プラスチック成形技能士の検定の際は、当社を試験会場として使っていただいており、社員が試験官を行なったりしています。当社だけでなく幅広く県内の若い方々がプラスチックの成形技能を持っていただけるよう、支援をさせていただいております。

製造で一番苦労する部分は?

2013年(平成25年)に、「射出成形における超薄肉成形技術」が第5回みやぎ優れMONO製品(※)として認定されました。一般的なフィルムやシートを加熱軟化させ、冷却固化前に型へセットし、真空圧や圧縮空気で最終形状に成形後、トリミング(仕上げ加工)し、製品にする「シート成形」の場合、はみ出したシート材をカットするのでロスが出てしまい、またどうしてもシート成形の場合、気密性を保ちにくく匂いが漏れてしまう問題がありますので、当社では金型の中に溶かした熱い樹脂を入れて冷やして形にする「射出成形」で製造しています。射出成形であれば寸法精度が高く気密性は保てますが、シート成形ほど薄く作るという事が非常に難しいんです。今回製品化したトイレタリー用品の容器は、容器を潰して中の薬玉(やくだま)を離すという仕組みの製品なので、容器が潰れなくてはならない。「0.35mmだと少し厚いからもう少し薄くしよう」とか、何度も繰り返し試行錯誤しましたね。やはり図面通りに作ってもどうしても感覚は思うようにいかない場合もありますので、そこの感覚の評価を行うのが一番大変です。何回も繰り返して「これだ!」というものを見つけ、大量生産の中でその感覚をどのように維持していくのかが製造において大変な所ですね。 ※みやぎ優れMONO製品…宮城県内の優れた工業製品を「みやぎ優れMONO」として認定し、県内外に発信するための認定制度。2009年(平成21年)6月創設以降、2015年(平成27年)まで計7回実施している。

やりがいを感じる時は?

難しい物をいかに妥協せず作って、それが完成した時に一番やりがいを感じます。やっぱり自分達で作った商品はスーパーとかに行くと見ちゃいますね、販売状況など気になりますので、実際に作った商品を市場で手に取れるのは、魅力的な所だと思いますね。

今後行なっていきたい事は?

近い目標としては、いかに早く新しい工場を建てるかという所ですね。2014年(平成26年)には東北工場用地として、加美町の雁原(がんばら)工業団地に土地を取得しています。その為には、まず今の工場で売上、利益を出すこと。利益を出す為にはやはり「いかに早く、薄く作るか」という事をこれからも追求していきたいと考えています。新しい工場を建てることで、当社だけではなく加美町の中での雇用を促進していきたいという思いも強くあります。

人材採用にも力を入れているそうですが?

そうですね。社内でプロジェクトチームを作って、採用ページもリニューアルしました。当社は比較的女性に優しい会社だと思います。東北工場の場合、新しい工場のすぐ隣が保育園なので、社員のママさん達もより働きやすくなるんじゃないかなと考えています。東北工場では現在58人の社員がいますが、中でも時短勤務を利用している社員は5人。その人に合った時間で働くことができます。特別な資格も必要ありません。入社してからプラスチック成形技能士の資格を取得できますので、新規採用も幅広く行なっています。「何事も前向きにチャレンジできる方」とぜひ一緒に働きたいですね。いかに技術を勉強してきたかというよりは、いかに前向きにチャレンジしていただけるのかという所を基準として考えています。

ビズプロ・クロスをご覧になっている皆様へ

「こんな身近な商品を作っているの!?」と驚かれる事が多いですね。そういう商品を製造しているのが当社の特徴であると思っています。中でもいかに早く、薄く作るかという所に一番こだわりを持って製造しているという点は、当社の一番の魅力なのかなと思います。

アスカカンパニー株式会社(東北工場)
〒981-4414 宮城県加美郡加美町孫沢52番地
TEL:0229-67-3883 FAX:0229-67-6139
HP : http://askacompany.co.jp/