episode:人との縁が生み出した「仙台名物」

株式会社キスケフーズ

今やすっかり仙台名物として知られる牛たん。
初めて牛たんを「仙台名物」と掲げ、全国に広めたのは創業40年の老舗、喜助だった。

「仙台名物牛たん」の始まりは?

もともと百貨店に勤務していた現会長(大川原要) が、仙台牛たん焼き誕生の祖となる「太助」の牛たんの味に魅了され、「この牛たんの美味しさをもっと多くの人に広めたい」という思いで、1975 年1 月1日に、まだ大学生だった現社長(大川原潔)とともに一番町の壱番館ビル地階に「喜助一番町店」を開業させました。その後、2 店舗目である「仙台駅前店」を開業した際に、当社が初めて看板に『仙台名物 牛たん』と掲げたのが、仙台名物としての始まりと言われています。

「仙台名物」という言葉が確立されたのはいつ頃?

牛たんは仙台の郷土料理でもありませんし、当時の地元の人達からしたら、牛たんが仙台名物と言われても、あまりピンと来ない感じだったのではないでしょうか。当時は高度経済成長期だったという事もあり、お店には単身赴任の男性のお客様がよくいらっしゃっていたんですね。牛たんをおいしいと思ってくださった方が、他の人に「仙台においしい牛たんがあったぞ」と口コミでだんだん広めてくださったんです。そんな時にちょうどディスティネーションキャンペーンをやっておりまして、その中で、年間を通して食べられる牛たんを仙台に観光で訪れる際に食べるグルメとして、観光の部類に入れてくださったのも仙台名物として知られるきっかけになったんだと思います。また、初めて東京に『仙台名物 牛たん』を持って行ったのが喜助だと言われておりまして、2004 年には東京駅構内に開業しているので、まずそこで仙台名物という言葉が確立されたという形にはなりました。

牛たん焼き「たれ味」が誕生したきっかけは?

牛たん焼きの味付けというと、どこのお店もほとんどしお味だったので、当時なかなか牛たんに馴染みが無かった若い女性やお子様にも牛たんを食べていただく為に、開業から1 年後位した時に「喜助味」というたれ味を当社が初めて作りました。現在も、ほとんどの牛たん屋さんはしお味が出てくると思うのですが、当社はしお・たれ・みその3 種類の味付けをご用意しています。

新メニューの開発秘話を教えて下さい。

開店当時のメニューは、たん焼き、テールスープ、麦飯、飲み物はくま焼酎に酒、ビール。ここからスタートしました。牛たん焼きだけでなく、別のメニューも出せないものかと新メニューの開発に取り掛かりました。そこで、固いと言われている牛たんの先の部分を、ひき肉にしたあんかけの具を豆腐にかけた「たん豆腐」というメニューを作り、お酒を注文したお客様のお通しとしてお出ししました。牛たん1 本の中でも牛たん焼として食べられる部分は決まっており、それ以外の部分をうまく活用し、様々なメニューの開発を行ってきました。このように、牛たん1 本をいかに食べるかという食文化そのものが仙台名物であると思っています。牛たん焼きに使う部分以外の所はひき肉にして豆腐にかけたり、柔らかく煮込んでカレーやシチューにする。ノドに付いている部分は甘辛く煮て柔らか煮にするなど、牛たん1 本をまるごと様々な食べ方でお客様に召し上がっていただく事がこだわりですね。やはり牛たん一筋の牛たん専門店としてやっているので、バリエーションに富んだ商品開発は飲食店メニューもお土産品メニューも含めて進めている所です。そうして生みだした商品を、飲食店のホールスタッフやお土産店の販売スタッフを含め全員が、きちんと自信を持ってお客様にお話できるという事が大切な事だと思っています。それだけ当社には牛たんに関して間違いないという自信がある事は確かです。

今までで一番ピンチだった出来事は?

間違いなくBSE ですね。2 回目のBSE の時に、1 回目のBSE の時はお客様が減った位で済んだのですが、2 回目の時には使用していたアメリカの牛たんが輸入禁止になってしまい、入ってこなくなってしまいました。そこで他のお店も一斉にオーストラリア産を買い付けた為、4 倍・5 倍に原料の価格が高くなってしまい、しまいには原料そのものが無くなってしまう事態に陥ってしまいました。なので牛たんを減らしたメニューを投入して、他のメニューも食べていただきながら、牛たんの消費を少しずつ抑えながら乗り切りました。会社も本当にあと何ヵ月位しかもたない状況でしたね。そんな時に、相場が折り返してちょっとずつ落ち着いていったんです。そこでやっと未来への展望が見えて、ぎりぎりそのまま持ちこたえました。そんな牛たんの危機に、社長が音頭をとって、仙台名物の牛たんを守ろうという思いで仙台を代表する名店が集まり、「仙台牛たん振興会」を2002 年に設立しました。他の牛たん屋さんも困っていたようで、署名活動を行い、行政になんとかしてほしいとい訴え、現在はある程度原料も入ってくるようになりました。「仙台牛たん振興会」では、年に一度のお祭りとして「牛( ギュウ) たん(ten)」の語呂合わせから、9 月10 日を『牛たんの日』と制定しました。その日は、定食がお安くなったりするお得なイベントを各店で開催しています。

40 年経った今、一番大きく変化した事は?

やはり、商品の数ですね。創業当時は、定食さえあればよかったんです。それが、競合他社の増加や店舗の拡大を行っているうちに、定食だけではお客様のニーズにお応えできないという事になってきて、当時に比べると何十倍もの商品の数が増えました。今後も、さらに商品数は増えていくと思います。商品の開発は、お店のお料理に関しては総料理長がおりますので、基本的には総料理長が行っています。お土産品に関しては、私がしています。大体業者さんからお声をもらったり、今売れているものを見て、これを牛たんでもできないかという事を投げかけて、商品を開発していくという感じですね。どんな味でもどんな加工方法でも対応できるというのが牛たんの魅力だと思っています。通年使用できる事から季節性が無いので、取り扱いやすい食材ですね。

今後行っていきたい事は?

2016 年に名古屋に新店ができますので、まずはそこですね。新しい地域に出店するという初の試みを成功させるという事が、直近の課題です。工場の方は生産性と効率性を高めていく為に、日々試行錯誤をしているので、それを継続して行っていきたいと思います。今後、できれば全国に店舗を出していきたいですね。世界にも出していきたいという思いはあります。

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